2009年08月26日

不思議となじんでいなかった「のりピー語」・・著名人が語る酒井法子(週刊朝日)

現段階で一つだけ、はっきりとしていることがある。それは、罪状はさておき、我々はかくも彼女に心を奪われたという事実だ──酒井法子容疑者(38)とはいったい何者なのか? 鋭い観察眼を持つ女性7人に特別ゲスト、マツコ・デラックスさんを加えて考える……。


不思議となじんでいなかった「のりピー語」放送作家 山田美保子

週刊朝日 2009年09月04日号配信掲載) 2009年8月26日(水)配信

 のりピーのことはレコードデビューする前から知っていて、私が台本を書いたラジオ番組に出てもらったり、インタビューをしたりしたこともあるんです。元気だし、素直な、まさに清純派アイドルでした。

 ただ、今考えると、無理してたのかなと思うことも多々あります。天然で、「ギザかわゆす(※とてもかわいいの意味)」を連発するしょこたん(中川翔子)とは異なり、のりピーは無理して語尾に「ピー」をつけているというか、考えないと出てこない感じでした。

 当時、彼女は「のりピーちゃん」という4コマ漫画を少女雑誌に連載していて、楽屋で一生懸命描いていた。自分でネタを考えて絵も描くので、大変だったと思います。

 ところが、あるテレビ番組で、共演していた男性アイドルが「のりピー、連載やめたいんだって」って言ったんです。彼女は慌てて否定しましたけど、ちょっとほっとしました。同年代の子には愚痴をこぼしてるんだって、人間のりピーを垣間見た気がして、あれは忘れられないですね。

 若い頃からアイドルとして生きてきて、辛いことも経験してきただろうし、家庭環境も複雑。事務所の先輩アイドルの岡田有希子さんや、父親代わりのマネジャーが自殺している。「何も知らない、悪い男に騙されたのりピー」では決してないはずですよ。

 ただ、周りが大人ばかりで、かわいがられ続けてきたから、守られ方を知ってるというか、清純派を装う処世術は早くから身につけていた気がします。クスリ友達はいても、何でも話せる人はいなかったということでしょうか。ひとりの女性として懸命にやってきたと思っているんでしょうが、いつも周りに助けてもらっての酒井法子だったということは、思い知ったほうがいいですね

こんなエンターテインメント見たことがないドラマ批評家 今井 舞

 この事件では久々に仕事を忘れテレビに釘付けでしたね。

「子供と失踪」という第一報には、「思いつめなければいいけど」と思ったし、「山梨県内で携帯電波を探知」と聞けば、「まさか山の中で……」と思ったし。途中、あれ? 何かおかしいぞ、と思っても、滅多なことは言えない深刻な雰囲気が漂ってました。今思えばこれが奴の思うツボだったんですね。してやられました。街では誰も彼もがこの話題一色。赤の他人とも盛り上がったりして、日本中のムーブメントになっていた気がします。

 逮捕後は一転、「逃亡前に歌舞伎町『ドン・キホーテ』で下着を大量購入」なんてビッチな情報がどんどん噴出。「ドンキで下着を買う」という場末感にはシビれました。素晴らしいヒールの誕生でしたね。

 これほどまでに、大ドンデン返しが続く面白いドラマは近年見たことがありません。「24」「チャングムの誓い」を軽く凌ぐエンターテインメント。酒井の元恋人で、最近ヒット作のない脚本家・野島伸司は、ここからドラマの何たるかを学んでほしいですね。

 ダンナの逮捕現場からトンズラを許した警察への批判もあったようですが、「この辱めをどうしてくれるの!」と泣き崩れる元アイドルの一世一代の大芝居を前にしたら、一瞬ひるんでしまうのもしょうがないかと。毛穴という毛穴から「悲劇の妻」「子を思う母」オーラを立ち上らせた迫真の演技は、そこら辺すべて計算ずくのことだったわけですし。

 ま、クスリの怖さを知らしめたという点では、ある意味社会に貢献したのかも。後のことは、モッツ出版の高須(基仁)社長に託すのみです
やっぱり80年代のアイドルって度胸があるな、と漫画家・コラムニスト 辛酸なめ子

 だんなの方は捕まって、どんどんしゃべりまくっている中、のりピーは逃走、しかものりピーの携帯電話が出てこないとか、やっぱり80年代のアイドルっていうのは度胸があるな、すごく強いなというふうに思いました。

 クスリに手を出したのは、アイドルとして大人気になったという光の部分が強かったからこそ、人気が落ちてきたときに闇の部分に引き寄せられてしまったのかもしれません。あるいは、アイドルとして、ファンタジックな発言を要求される存在と、自分の悪な面を、矛盾なくつなぐものがクスリだったのでしょうか。

 のりピーがアイドルだな、と思ったのは、クラブに行くと、のりピーは「ちょうだい」と言って、人からコカインとかをもらって、代わりにビールをおごったという記事を見たときです。コカインとビールなんて全然等価じゃないのに押し切ってしまうのは、美人を利用してるな、と。

 あと、夫の高相さんって見た感じすごく悪そうなのに、結婚当時、「誠実な方に会えました」みたいなことをのりピーが言っていて、そのときも男性を見る目はちょっと普通じゃないな、と思いました。

 この騒動で、のりピーが言ったといわれる「この辱めをどうしてくれるの」っていう言葉が周りで流行っています。

久しぶりにアメリカのセレブみたいな派手な言動をする日本の芸能人が出たという感じですね。自分が迷惑をこうむってないから言えることかもしれませんが、すごく見ごたえがあります。

 彼女の事件をきっかけに、芸能界に隠れているこういうことが、どんどん出てくればいいと思います。芋づる式にクスリをやってる人が捕まったりとか。

「オンナとしてのレベル」は明らかに高いコラムニスト 中野 翠

 今まで酒井法子っていう人物にはまったく興味がなかったのに、一連の報道を不思議なくらい見てしまうんです。やっぱり「意外性」がポイント。“清純派”アイドルとのギャップが大きかった。顔のパーツが小づくりで、笑わないと寂しい顔。なのに、笑うと口の形がニッと決まって、完璧なアイドル顔になる。

 でも、素顔は違うんだろうと思っていたので、今回のスキャンダルは「意外だなー」というのと「やっぱりねー」というのと半々。両方とも強く感じた。

 私、「のりピー語」や、取ってつけたような明るさや、狙っている感じが好きになれなかったんです。男の子仕様に作られたアイドルそのもの。女の子が友達になりたいっていうタイプではなかったですよね。

 玉の輿に乗ったと思った結婚相手が実はダメ男で、覚醒剤で逮捕されて“失踪”。最初はいかにも同情を誘うドラマだったじゃないですか。ところがその後、出てくる事実が次から次へと冗談を上回るあくどい展開だから、話に推進力があるんですよ。その都度、私もモノ書きとしての読みがまだまだだと思わされました。私もまだまだ世間知らずだな、人を見る目が甘いなあ、と。

 出産後は「ママドル」として新たな道を築いて、親善大使や裁判員PR映画の主役も務めて順調にステップアップ。だいぶ税金も使われたはずですけど、今回は誰も何も言わないですよね。

 ここまで世間を偽っていたわけだから、無防備に自分を出さない自己演出術はたいしたものです。女としてはレベルが高い。もはや感心しています。ただ、子どもの面倒をあんまり見てなかったのが致命的でした。「辛い境遇に転落したけど、子どもは愛しているんだ」というストーリーの作りようもあったのに。でも、彼女の不幸な生いたちなど知ってゆくと、彼女一代ではなく親の代から連鎖してきた悲劇なのだと哀れを誘いますね。

対照的ですごかった矢田亜希子「ダンナの捨て方」漫画家 倉田 真由美

 私のパートナーが、数年前に仕事でのりピーと韓国に行ったそうです。ダンナが車で彼女を空港まで送ってきたんだけど、間違えて自分のパスポートを持ってきていて、慌てて取りに帰ったそうです。パートナーは、「イケメンだけど大ボケ野郎だな」って言ってました。

 男の良し悪しは、お金を持ってるかより、働き者かどうかだと思うんです。私のパートナーは、離婚経験3回、女性経験500人以上、借金あり……。

 よく「究極のだめんず」だって言われますが、彼はとても楽しそうに働いてる。人生、何が起こるかわからない。裸一貫になったら、親の金や血筋、学歴なんて何の役にも立たないですから。

 高相さんは何を持ってたのかわからないけど、親のお金以外に何か持っていたのかな。私、そもそも趣味人って好きじゃないんです。趣味をお金にするのは大変なことですよ。

 それにしても、矢田亜希子は本当に早かった。夫の押尾学が逮捕されてすぐ、離婚届出しましたもんね。「ああ、もう押尾はいらないのね」と。あの見捨て方は人間が出ますね。もともと届けを出してないだけで、関係は終わってたんでしょうけど。

 のりピーが、「この人の子どもが欲しい」と、好きで結婚したのか、結婚生活をどういう気持ちで続けていたかは知りえないことだけど、これまでは高相さんを見捨ててない。問題は罪を償った後にどうするかだと思うんです。のりピーが相手をどれくらい受け入れてるかはわかりますよね。覚醒剤なので、すぐに社会復帰するでしょう。どう行動するかで、株が上がったり下がったりすると思います。「ごくせん」のヤンクミみたいになれる可能性も、まだなくはないと思いますけどね。

寂聴センセイに「正しい道」を説いてもらいなさい!コラムニスト ペリー荻野

 のりピーっていうのは、のりピー語を使ったキャピキャピしたアイドル時代を経て、結婚して子どもを産んだことで、みんなから共感される、「自然体」とか「等身大」といわれるアイドルになったんですよ。でも、アイドルって、みんなの勝手な偶像として生きてる人でしょ? 果たして等身大のアイドルなんて存在するのかなって不思議だったんだけど、やっぱり素顔は違ったんだなって。

 毛髪鑑定でクスリの陽性反応は出たものの、髪の毛を切ってたんでしょ? ジタバタ、ジタバタしたんだね。頭が混乱して6日間逃走したって発言しているけど、そんなに弱い人じゃないと思うよ、のりピーは。第一、これだけ長く芸能界にいて、自分のイメージを清純派、自然体とキープしてきた人なんだから、すごく頭が切れる人だと思う。

 なんにしても、だんなさんが悪いことは悪いよねえ。職務質問のとき、なんでのりピー呼ぶの?って話だよね。だんなさんが自立した男性だったという要素が何も出てこない。一方、のりピーはすぐに子どもを預けた。しっかりしてるんだなって思った。

 いつか、いろんな真相を語れる日が来て、語るときが来るのかな。ここはひとつ、瀬戸内寂聴先生とか、家田荘子先生に叱ってもらって、お遍路して帰ってくると(笑い)。人生の師みたいな人を見つけて、ビシッと叱ってもらう、と。

 いい方向にとらえると、女がとんでもない挫折をしたときに、どう生きていくのかというモデルケースのような気もするんだよね。ここまで人生をおとしめられて、どう這い上がってくるか、それを見たい気もする。あ、だんなさんも寂聴先生に叱ってもらわないとダメですよ(笑い)。

「クスリ漬け」に見え隠れする「素直と清純」の横顔精神科医 香山 リカ

 事件は、彼女が、作られたり期待されたイメージと、現実の生身の人間としての人生のギャップのようなものをうまく埋められなかったことの結果、破綻して起きたように思います。

 クスリを使うことで、作られているキャラクターからの逃避ができ、自分との葛藤を一時的にでも埋め合わせることができると錯覚したのかもしれません。クスリを使えば、酒井法子として振る舞わなきゃって思わずに、自然に自分として堂々と振る舞えるというか。

 世間では、清純派というのは嘘で、覚醒剤を使ったりクラブに行く方が実態だとか言われてますけど、多分そうではなく、素直なところや清純なところも、本人の実像とはそんなにかけ離れてはなかったと思います。だからこそ、そういうイメージをまっとうしよう、演じようと思ったんではないでしょうか。もっと割り切って、陰では適当にやっていれば、破綻しないで使い分けられたと思うんですが。

 子どもを預けた先が、夫の愛人だったということですが、酒井さんは家族とか非常に親しい仲間しか信用できなかったのかもしれません。所属する事務所とは、少女時代からの緊密な関係だったはずなのに、今ひとつ信じきれていないから、すべてのことを打ち明けていない。

 だから子どもを預けるのも、ただの友人や事務所の関係者より、むしろ夫と恋愛関係にあって、夫のことも分かっている人の方が、まだ信用できるというような気持ちがあったんじゃないでしょうか。

 まだ30代と若いし、取り返しのつかないことをしたわけじゃないのだから、ちゃんと罪を償って、立派に更生してほしいと思います。

「清純派叩き」に熱狂する「オトコ目線」のいやな感じコラムニスト マツコ・デラックス

 マスコミは鬼のクビ取ったみたいに騒いでるけど、私たちが楽しんでいいのは芸能人のお芝居なり歌なり、その芸のみなのよ。その人の私生活をメインにして語る筋合いはないわけ。だから、事件そのものには「興味ないです」って答えてる。

 勿論、犯した罪に弁解の余地はないけど、話題がのりピー一色になったのは、それだけ芸能界で存在感を残してきたってこと。テレビ局は、悪者扱いしながら、過去の映像を使いまくってる。視聴率狙いの魂胆がミエミエで、不愉快だったわ。

 不愉快と言えば、あのダンナ。「4年前から妻もやってた」とかしゃべってるけど、養ってもらってたのに、女房を売るようなマネをしちゃダメ。でも、男は自分の保身が第一なの。哀れな女だけど、今となっては何を言ってもしょうがないじゃない。

 みんな、あんな男を夫にしてって言うけど、人間は弱いから人に依存しなきゃいられないときってあるのよ。でも、愛することは人を愚かにしちゃうし、女は幻想を抱いちゃう。ダンナと、より深い関係になるためにクスリを使ったなら、そこまで愛に生きたならいい女だと思う。それか、すごいバカかどっちかだね。

 これから、「女のくせにクスリなんかやりやがって」っていう声は一生つきまとうと思う。マスコミは「清純派アイドルの没落」って言い方してるけど、オトコ目線の報道よね。「清純派」にしてたのは男たち。彼女は一言も「私、清純派です」なんて言ってないし、あんな気の強そうな女いなかったよ。要は男のファンタジーの中でまつり上げられた人なんだよね


posted by ぴかまま at 18:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 酒井法子
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