2014年08月20日

月9「HERO」好調支える演出の妙…「よろしこ・久利生」と「倍返し・半沢」に共通する“魅力”から見える現代人のツボ

月9「HERO」好調支える演出の妙…「よろしこ・久利生」と「倍返し・半沢」に共通する“魅力”から見える現代人のツボ
2014.8.20 07:00[芸能考察]

木村拓哉主演のフジテレビ月9ドラマ「HERO」が好調だ。13年前、型破り検事の登場に視聴者の心をわしづかみにした大ヒットドラマの続編。ファンにとって、期待あり不安(?)ありの演出の妙は、このところ低調が続くフジテレビ復権を期待させる。そういえば、昨年の夏は「半沢直樹」(TBS系)に夢中になった。仮面ライダーでもウルトラマンでもない、職業的には“普通”の検事や銀行員がひたすら真面目に仕事している姿がなぜ現代人の心を打つのか、その背景を探った。(杉山みどり)


テンポ・掛け合い・「あるよ」


 「やっぱり面白い!」の声が多い「HERO」。数字的にも今クールの連続ドラマと比較して頭1つ抜けている状態だ。舞台は13年前と同じ「東京地検城西支部」。木村演じる型破りな久利生公平(くりゅう・こうへい)検事が再び配属され、数々のドラマが繰り広げられる。個性豊かな城西支部メンバーは新旧半々のキャスティング。

 「あいかわらずの掛け合い最高です」「コンビネーション完璧でした」「キャスト変わっても面白い」といった声がネット上で飛び交った。中でも、久利生行きつけのバーのマスター(田中要次)の「『あるよ』が聞けてよかった!」と絶賛されている。

 初回(7月14日放送)視聴率が26.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)と今年の全ドラマの中で最高を記録(5話終了時点で平均21.14%)。

 巷の声を分析すると、テンポのよさ、いずれ劣らぬ濃いキャラクター設定といった“ぶれない”作り込みの妙に加え、久利生の通販好きや「よろしこ」、マスターの「あるよ」の“お約束”が視聴者の気持ちをつかんでいるようだ。もちろん、久利生のジーパンにチェックのシャツというカジュアルな格好も、地道な捜査スタイルも昔のまま。「変えるもの」と「変えないもの」のバランスがいいようだ
明るいメッセージ 時代に合ったヒーロー像


 好調の理由の1つに「時代背景がある」と分析するのは、『テレビドラマを学問する』などの著書のある中央大学文学部の宇佐美毅教授だ。

 「主人公の九利生検事はスーパーマンのような超人的な才能の持ち主ではありません。むしろ裏付け捜査を地道に続ける人物で、そんなひたむきな姿に視聴者は共感するのでしょう」と話す。しかし、そんな主人公像がいつの時代にも支持されるとは限らないと、こう続ける。

 「彼の地道さはバブル期にはどこか“野暮”に見え、逆に、景気のどん底期にはあらゆる難題も解決してしまう筋書きが“軽薄”と見えるかもしれません。景気の回復期であり、『努力したら明るい光が見えてくる』という気持ちになれるような時代背景があるからこそ支持されるのです」

 13年前も現在も“回復期”。明るい兆しが見える時代だからこそ、久利生の姿は視聴者の心に響くという。


久利生公平、半沢直樹という現代のヒーロー像


 ただ、他ドラマに比べて好調とはいえ、全話の視聴率が30%以上の第1シリーズと比較すると、第2シリーズはそこまで伸びていない。宇佐美教授は「ドラマ視聴率の低下という時代の流れもあります。また、続編はどうしても“回顧感”ゆえに(前と)比較してしまうものです。夏クール(7〜9月期)ドラマは高視聴率が取りにくいとされている中、『HERO』の数字は立派と思いますよ」

 昨年42.2%(最終回)を記録した「半沢直樹」(TBS系)も夏クールドラマだったと水を向けると、「半沢という新しいヒーロー像が現れ、視聴者に強烈なインパクトを与えたからでしょう」。確かに、銀行員がヒーローになるとは思わなかった。それが、半沢の「倍返しだ!」を聞く度に快哉を叫ぶほどの爽快感に満たされたのだ。
13年前、ダウンジャケットにジーパン姿で「よろしこ」とふざけた口調の検事に度肝を抜かれつつ、その正義感で数々の事件を解決していく姿に夢中になっていたことを思い出した。


現代のライフスタイルに合ったドラマ作り 「刑事もの」人気は継続


 前クール(4〜9月期)は全局通して「刑事もの」が多かったが、今クールは「家族」「不倫」「青春」などバリエーションに富んでいる。また、TBSは山田太一や倉本聰ら10人の脚本家が1話毎手がける「おやじの背中」や、“恋愛の教祖”といわれた柴門ふみ原作「同窓生」など、80−90年代のヒットメーカーたちを起用。フジテレビの「若者たち2014」は66年のヒットドラマのリメイクだ。宇佐美教授は「各局とも視聴者が何を求めているか試行しているのではないでしょうか」と話す。

 また、「刑事もの」人気について「1話完結で問題を解決するドラマが、現代の視聴者のライフスタイルに符号するため」と分析し、この傾向は今後も続くだろうと推測している。


エンドロールの「児玉清」に思わずうるうる


 話を「HERO」に戻す。制作サイドのあらゆる仕掛けも功を奏しているようだ。初回放送では、特捜本部に栄転した江上達夫検事(勝村政信)を冒頭に登場させたり、久利生の事務官だった雨宮舞子(松たか子)の“その後”を現事務官たちに語らせたりと、「13年の間には色々ありました。かつてのメンバーは…」と、ドラマの中で視聴者の疑問に答える形をとった。
中でも、故・児玉清が演じていた東京地検次席検事の鍋島利光を、ドラマでも亡くなっている設定とし、その後任の牛丸豊(角野卓造)の机に、鍋島とのツーショット写真を飾らせ、エンドロールには「Special Thanks 児玉清」を映し出す演出などに視聴者は反応した。放送後のツイッターで、「思わずうるうる」「制作者の愛を感じた」「グラスアップ(献杯?)の演出にグッときた」「うれしくなった」など、感動の声が多数投稿された。


雨宮は登場するか? 期待感もたせる手法


 4話(8月4日放送)には、かつて城西支部に居た中村美鈴検事(大塚寧々)が登場。「次はあの人が出てくるんじゃないか? いや、この人かも」という期待感もついつい抱いてしまう。第1シリーズからのファンの心を引きつける手法かもしれない。今後の放送も期待大だ。


posted by ぴかまま at 09:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画★HERO(ヒーロー)
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