2008年03月01日

「主婦の友」休刊

[解説]「主婦の友」休刊
女性の意識多様化 競合誌乱立、ニーズつかめず


 老舗の女性雑誌「主婦の友」が、5月発売の6月号で休刊する。背景には、長引く雑誌不況と既婚女性のライフスタイルの多様化がある。(文化部 金巻有美)

 「主婦の友」は1917年(大正6年)2月、「家庭の幸福と女性の地位の向上」を目指して創刊。「婦人生活」「婦人倶楽部」「主婦と生活」とともに4大婦人雑誌と呼ばれ、90年以上の歴史を持つ老舗雑誌だ。

 同誌が「主婦」という言葉を使い始めた大正期は、都市化が進む一方で、家庭を守る良妻賢母が理想的な女性像とされた時代。料理や育児、家計に関する記事から小説などの読み物まで幅広い内容は、家庭の主婦が教養を高められる雑誌として中流家庭の既婚女性に受け入れられ、人気を集めた。

 主婦層は、戦後の高度成長期にサラリーマンが増加するのと同時に増えていった。55年には3割程度だったサラリーマン世帯の専業主婦の割合は、80年には4割近くまで増加。歩調を合わせるかのように、同誌は64年、「結婚したら 主婦の友」というキャッチフレーズを打ち出し、69年には戦後の最大発行部数72万部を記録した。

 しかし、80年代後半から90年代前半にかけて、4大婦人雑誌のうち3誌が休刊。「主婦の友」は93年の紙面刷新後、95年に60万部発行したのをピークに低迷を続け、昨年上半期の販売部数は、7万5000部(日本ABC協会)にまで落ち込んでいた。

 4大婦人雑誌の目次集成編集にかかわった東洋英和女学院大の与那覇恵子教授(55)は、「主婦、婦人という層がどういう人たちなのか、何をどう伝えたいのかという編集方針が明確ではない。タイトルが古いイメージなので、内容も古いと思われたのではないか」と話す。

 低迷の背景には、女性の意識やライフスタイルの変化もある。男女雇用機会均等法が施行された86年以降、働く女性は年々増加。男女共同参画社会基本法が施行された99年前後には、公共の建物名などから「婦人」「主婦」といった言葉が姿を消した。

 今や、女性は年齢だけでなく、働いているかいないか、未婚か既婚か、子を持つか持たないか、どこに住むか、収入はどのくらいあるか――などが複雑に絡み合い、これまでにないほど多様な志向、意識を持つようになった。「婦」という字には「家庭内のことを取り仕切る女性」という意味があるが、すでに家庭の外でも活躍するようになった女性たちは、「主婦」「婦人」という語に違和感を感じるようになっている。

 女性の意識が多様化するのに合わせ、女性誌もまた細分化、多様化してきた。年齢や好み、年収によって読む雑誌は違い、「主婦の友」も、「ESSE」「オレンジページ」「レタスクラブ」「サンキュ!」など15誌近くの生活情報誌と競合する。そんな状況が、「主婦の友」を休刊に追い込んだと言える。フェリス女学院大の諸橋泰樹教授(51)(出版論、ジェンダー論)は「かつては大人から子供までが読めて1冊で間に合ったものが、ニーズの細分化で間に合わなくなった」と見る。

 雑誌が売れなくなっていることも大きい。出版科学研究所のまとめによると、昨年の雑誌の販売額は前年比3・1%減の1兆1827億円で、98年から10年連続の減少。また、昨年休刊した雑誌は218点で、同研究所が休刊誌の統計を取り始めた55年以来、初めて200点を突破した。

 さらに、売り上げと並んで雑誌の収入を支えている広告収入の減少も雑誌不況に拍車をかけている。電通によると、雑誌広告費はここ数年減少。06年には、急伸するインターネット広告費に抜かれ、07年も前年比4%減の4585億円に落ち込んだ。

 一方で、同じく大正期に創刊した「婦人公論」は実売率70%と健闘している。三木哲男編集長(49)は「堅いイメージの誌名だが、年齢にかかわらず女性として自分らしく生きるには、という編集方針が一定の読者の支持を得ているのではないか」と話す。

 主婦の友社はすでに、新しい女性生活誌の創刊を模索している。インターネットやテレビなどから簡単に情報を手に入れられる時代に、いかに女性の心をつかむ雑誌を打ち出せるのか、注目したい。

(2008年2月28日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20080228bk07.htm



posted by ぴかまま at 07:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース
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